
違法建築
2024.10.20
違知らないと損をする!違法建築における行政指導の基礎知識と実例
「違法建築」と「行政指導」の関係に不安を感じていませんか? 本記事では、建築基準法をはじめとする法令違反となる違法建築の種類を解説し、行政指導の種類や流れ、具体的な事例を分かりやすく説明します。違法建築に関する行政指導の基礎知識を身につけることで、適切な対応と将来のリスク回避に繋がります。安心して建築・不動産に関わるための第一歩を、この記事で踏み出しましょう。
違法建築とは何か

違法建築とは、建築基準法をはじめとする建築関連法規に違反して建てられた建築物を指します。
たとえば、建築確認を受けずに建築を行ったり、確認内容と異なる工事をした場合などが該当します。
こうした建物は、無許可建築や確認申請未済建築と呼ばれることもあります。
建築基準法違反の代表例
建築基準法は、建築物の安全性、衛生、快適性を確保するための法律です。この法律に違反する建築は、様々な問題を引き起こす可能性があります。代表的な違反例は以下の通りです。
違反内容 | 解説 |
---|---|
建ぺい率・容積率超過 | 敷地面積に対する建築面積の割合(建ぺい率)、敷地面積に対する延べ床面積の割合(容積率)が、法令で定められた数値を超えている状態。 |
道路斜線制限違反 | 道路に面する建築物の高さを制限することで、日照や通風を確保するための規定に違反している状態。 |
北側斜線制限違反 | 北側の隣地への日照を確保するための規定に違反している状態。 |
壁面後退距離不足 | 隣地境界線から壁面までの距離が、法令で定められた数値を満たしていない状態。 |
耐火構造違反 | 建築物の用途や規模に応じて定められた耐火構造の基準を満たしていない状態。 |
用途地域違反 | 指定された用途地域に適合しない建築物(例:住宅地に工場を建てる)を建築している状態。 |
上記以外にも、避難経路の確保不足、採光・換気不足など、様々な違反形態が存在します。
その他の法令違反
建築基準法以外にも、建築に関する法令は複数存在します。例えば、都市計画法では、都市計画区域内における開発行為について規制しています。開発許可を受けずに大規模な建築物を建築した場合は、都市計画法違反となります。
また、農地法では、農地の転用について規制しています。許可なく農地に建築物を建築した場合は、農地法違反となります。これらの法令違反も、違法建築に該当します。
その他にも、文化財保護法、景観法、森林法など、建築に関連する法令は多岐に渡ります。
行政指導とは?その種類と流れ

行政指導とは、行政機関が国民に対して、あるべき姿を任意の協力によって実現させようとする行為です。法的な強制力はありませんが、無視し続けることは様々な不利益につながる可能性があるため、適切に対応することが重要です。
行政指導の種類
行政指導は、その内容や方法によって様々な種類に分けられます。主な種類は以下の通りです。
種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
勧告 | 特定の行為を行うよう勧めること | 建築基準法に適合するように建物の改修を勧告する |
助言 | 特定の行為を行うよう助言すること | 耐震性を高めるための改修方法について助言する |
指示 | 特定の行為を行うよう指示すること | 危険な状態にある建物の使用を中止するよう指示する |
要請 | 特定の行為を行うよう要請すること | 近隣住民への説明会を開催するよう要請する |
これらの他にも、警告や指導、是正勧告など、様々な表現が用いられます。いずれの場合も、行政指導の内容を正確に理解し、適切に対応することが重要です。
行政指導の流れ
違法建築に対する行政指導は、一般的に以下のような流れで進みます。
- 通報・発見:近隣住民からの通報や、行政によるパトロールなどによって違法建築が発見されます。
- 調査:行政機関が現地調査を行い、建築基準法などの法令への適合性を確認します。測量や図面の確認などが行われます。
- 文書による通知:調査結果に基づき、違法建築が確認された場合、文書で通知されます。通知には、違反内容や是正すべき事項、是正期限などが記載されています。
- 聞き取り調査:必要に応じて、建築主や関係者に対して聞き取り調査が行われます。建物の経緯や状況などを確認します。
- 行政指導:上記の調査結果を踏まえ、行政指導が行われます。具体的な是正方法や期限などが提示されます。状況によっては、是正勧告や命令が出されることもあります。
- 是正:建築主は、行政指導に従い、是正工事など必要な措置を行います。是正状況は行政機関によって確認されます。
- 確認・完了:是正が完了したことが確認されると、行政指導は終了となります。
行政指導の進行は、必ずしもこの通りとは限りません。
状況次第では、一部の手続きが省略されたり、新たな措置が加わったりする場合もあります。
さらに、行政指導を無視した場合、勧告や命令などの強い行政処分に移行する恐れも出てきます。
違法建築における行政指導の実例

ここでは、違法建築に関連する行政指導の具体的な実例をいくつか紹介します。これらの事例を通して、違法建築の種類や行政指導の内容、対応の難しさなどを理解し、自身の建築計画に役立ててください。
事例1 住宅密集地における建ぺい率超過
都市部の住宅密集地では、建ぺい率制限を超過した建築物がしばしば問題となります。Aさんは、都内の住宅地に3階建ての住宅を新築しようと計画しました。しかし、敷地の形状が特殊であったため、設計段階で建ぺい率をわずかに超過してしまうことに気づきました。Aさんは、近隣住民とのトラブルを避けるため、事前に自治体の建築指導課に相談しました。結果、建ぺい率超過部分を最小限にする設計変更を行い、特別な許可を得て建築することができました。この事例は、事前の相談と適切な対応が重要であることを示しています。
事例2 農地転用せずに建築された住宅
Bさんは、郊外の農地を相続しました。Bさんはこの農地に住宅を建築することを考えましたが、農地転用手続きを怠っていました。完成後、近隣住民からの通報により、違法建築が発覚。自治体から行政指導を受け、住宅の撤去または農地への原状回復を命じられました。Bさんは、多額の費用をかけて住宅を解体することになり、大きな損失を被りました。この事例は、農地転用は必須の手続きであり、怠ると深刻な結果を招くことを示しています。
事例3 既存不適格建築物の増改築
Cさんは、築50年の既存不適格建築物である木造住宅を所有していました。老朽化したため増改築を計画しましたが、現在の建築基準法では、増改築を行うことで既存不適格部分が一定の割合を超えると、既存部分も含めて現行法規への適合が求められます。Cさんはこの点を理解しておらず、増築部分のみを考慮した設計で着工してしまいました。結果、自治体から行政指導を受け、工事の中断と設計変更を余儀なくされました。既存不適格建築物の増改築は複雑な法規制が絡むため、専門家への相談が不可欠です。
事例 | 違反内容 | 行政指導の内容 | 結果 |
---|---|---|---|
1 | 建ぺい率超過 | 設計変更指導 | 条件付きで建築許可 |
2 | 農地転用未実施 | 住宅撤去命令 | 住宅解体、損失発生 |
3 | 既存不適格建築物の不適切な増改築 | 工事中断、設計変更命令 | 工事遅延、追加費用発生 |
これらの事例は、違法建築が様々な形で発生し、多大な損失やトラブルにつながる可能性があることを示しています。建築計画を進める際には、法令の確認を怠らず、必要に応じて専門家の意見を取り入れることがトラブル防止につながります。
まとめ

違法建築と行政指導について、その概要から具体的な対応まで解説しました。建ぺい率や容積率の超過、既存不適格建築物の不適切な増改築などは、行政指導の対象となり、是正勧告や命令、さらには罰則に繋がるケースも少なくありません。行政指導を受けた際は、建築士や弁護士などの専門家に相談し、対応策を速やかに検討することが不可欠です。 違法建築に関する問題でお困りの方は、なんでも不動産にご相談ください。専門スタッフが、お客様の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。