
違法建築
2024.11.11
違法建築を購入する際の注意点|トラブル回避と安心できる取引のために
違法建築の購入は、大きなリスクを伴う可能性があります。この記事では、違法建築の定義や種類、購入に伴うリスク、そして安心して取引を進めるための注意点について詳しく解説します。違法建築かどうかを見極めるポイント、契約時の注意点、契約不適合責任の範囲などを理解することで、トラブルを回避し、安全な不動産取引を実現するための知識を身につけることができます。
違法建築とは何かを理解する

違法建築とは、建築基準法などの関連法規に違反して建てられた建物のことを指します。建築基準法は、建物の安全性、衛生、防災などを確保するために定められた法律であり、この法律に違反している建築物は、様々なリスクを伴います。単に「違反建築」と呼ばれることもありますが、一般的には「違法建築」という用語が広く使われています。建築基準法に適合していない建築物を購入することは、後々大きなトラブルに発展する可能性があるため、その内容を正しく理解することが重要です。
建築基準法と違反建築物
建築基準法は、国民の生命、健康、財産の保護を目的として、建築物の敷地、構造、設備、用途などについて基準を定めています。この法律に違反する建築物は、違反建築物と呼ばれ、大きく分けて「既存不適格建築物」と「違法建築物」の2種類に分類されます。
既存不適格建築物とは、建築当時は合法的に建てられたものの、その後の法改正によって基準に適合しなくなった建物のことを指します。例えば、かつては容認されていた建築面積率が、法改正によって引き下げられた場合、既存の建物は新しい基準に適合しなくなりますが、すぐに取り壊しや改修を強制されるわけではありません。ただし、増改築を行う際には、新しい基準に適合させる必要があり
ます。
一方、違法建築物は、建築当初から建築基準法に違反して建てられた建物のことを指します。例えば、必要な建築確認申請を行わずに建てられた建物や、容積率や建ぺい率などの制限を超えて建てられた建物などが該当します。違法建築物は、既存不適格建築物とは異なり、法的な是正を求められる可能性が高く、購入時には特に注意が必要です。
違法建築の種類と事例
違法建築には様々な種類があり、その違反内容も多岐にわたります。代表的な例を以下に示します。
種類 | 内容 | 事例 |
---|---|---|
建築確認申請未済 | 建築工事に着手する前に必要な建築確認申請を行っていない。 | 知らずに増築した小屋、確認申請の手続きを怠ったまま建てた住宅 |
容積率オーバー | 敷地面積に対する延床面積の割合が、法定の容積率を超えている。 | 許可された階数よりも高い建物を建築 |
建ぺい率オーバー | 敷地面積に対する建築面積の割合が、法定の建ぺい率を超えている。 | 敷地の境界線ぎりぎりに建てられた建物 |
斜線制限違反 | 道路や隣地の日照を確保するために定められた斜線制限に違反している。 | 高層建築物が斜線制限を超えて建設された |
用途地域違反 | 指定された用途地域に適合しない建物を建築している。 | 住宅地に工場が建てられている |
これらの他にも、防火地域や準防火地域における防火構造の不備、道路斜線制限違反、北側斜線制限違反など、様々な違反形態が存在します。違法建築の種類や程度によっては、是正費用が高額になる場合や、最悪の場合、建物の解体命令が出される可能性もあるため、購入前に必ず専門家による調査を行うことが重要です。
違法建築を購入する際のリスク

違法建築を購入すると、様々なリスクが伴います。金銭的な損失だけでなく、法的トラブルに巻き込まれる可能性もあるため、購入前にリスクを十分に理解しておくことが重要です。
売買契約の無効や解除の可能性
違法建築であることを知らずに購入した場合、契約を取り消せる可能性があります。民法95条の錯誤による取消しや、96条の公序良俗違反などを根拠に、契約の無効または取消しが認められる場合があります。ただし、買主が違法建築であることを知っていた、あるいは容易に知り得た場合には、契約の無効や解除は認められない可能性があります。また、売主が違法建築であることを隠蔽していた場合、損害賠償請求が認められる可能性もあります。
建物の解体や改修命令
建築基準法に違反している建築物に対しては、行政から是正勧告、是正命令、さらには解体命令が出される可能性があります。勧告や命令に従わない場合は、罰金が科せられることもあります。解体や改修には多額の費用がかかる可能性があり、その負担は所有者である買主にのしかかります。特に、既存不適格建築物であっても、増改築などで違反状態がさらに悪化している場合は、行政指導の対象となりやすいので注意が必要です。
行政指導の種類 | 内容 |
---|---|
是正勧告 | 自主的な是正を求める指導 |
是正命令 | 期限を定めて是正を命じる行政処分 |
解体命令 | 建物の解体を命じる行政処分 |
資産価値の低下
違法建築は、適法な建築物と比べて資産価値が低いと評価されるのが一般的です。住宅ローンを組む際に、担保評価が低くなる可能性や、融資自体を断られる可能性もあります。また、将来売却する際にも、買い手が見つかりにくかったり、売却価格が低くなったりする可能性が高いです。違法建築であるという負のイメージは、市場における物件の評価を大きく下げる要因となります。
売却の難しさ
違法建築であることを告知した上で売却しようとすると、買い手が見つかりにくい可能性があります。買い手は、将来のリスクを懸念して購入を躊躇するからです。また、告知せずに売却した場合、後々トラブルに発展する可能性があります。買主から損害賠償請求をされたり、契約の無効や解除を求められたりする可能性があります。違法建築の売却は、時間と労力を要する困難なプロセスとなる可能性が高いです。
これらのリスクを避けるためには、購入前に建物の法的適合性を慎重に確認することが重要です。専門家である建築士や不動産鑑定士に相談し、建物の状況を調査してもらうことをお勧めします。また、売買契約書の内容をよく確認し、不明な点は必ず質問するようにしましょう。
違法違法建築を購入する場合の注意点建築における行政指導の実例

違法建築を購入することは、後々大きなトラブルに発展する可能性があるため、細心の注意が必要です。安易に購入を決断するのではなく、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。以下の注意点を確認し、リスクを最小限に抑えましょう。
売買契約書の内容確認
売買契約書は、取引における重要な書類です。契約内容を理解しないまま署名することは絶対に避けましょう。特に、違法建築に関する記載は念入りに確認する必要があります。
特約事項の確認
違法建築であることを明記し、現状有姿での引渡しや、契約不適合責任の免責といった特約がないかを確認しましょう。これらの特約がある場合、売主は契約不適合責任を負わないため、買主は修繕費用などを負担する必要があります。契約書に不明点があれば、必ず不動産会社や弁護士に相談しましょう。
付帯設備の確認
違法建築の場合、増築部分などに設置されたエアコンや給湯器なども、建築基準法に適合していない可能性があります。これらの付帯設備についても、契約書に明記されているか、現状どのような状態であるかを確認しましょう。
契約不適合責任の範囲
違法建築の場合、売主の契約不適合責任の範囲が通常とは異なる場合があります。契約前に契約不適合責任の範囲を明確にしておくことが重要です。売主が契約不適合責任を負わない場合、買主がすべての修繕費用を負担することになります。契約前に、売主と責任の範囲について十分に話し合い、合意しておくことが大切です。
違法状態の是正費用負担
違法建築を購入した場合、将来的に是正を求められる可能性があります。是正費用は高額になる場合もあるため、事前にどの程度の費用がかかるのかを把握しておくことが重要です。専門家に見積もりを依頼し、資金計画に組み込んでおく必要があります。
是正費用の見積もり
建築士や専門業者に依頼して、是正に必要な費用を見積もりしてもらいましょう。見積もり内容には、設計費用、解体費用、工事費用などが含まれます。また、是正工事中は居住できない場合もあるため、仮住まい費用なども考慮する必要があります。
費用の負担割合
売主と買主の間で、是正費用の負担割合について協議し、契約書に明記しておきましょう。費用の負担割合は、違法建築の状態や売買価格などを考慮して決定します。明確な合意がない場合、後々トラブルになる可能性があります。
項目 | 確認事項 |
---|---|
登記簿謄本 | 建物の面積や構造などが、実際の建物と一致しているか確認する。相違がある場合は、違法建築の可能性があります。 |
建築確認済証/検査済証 | 売主に提示を求め、内容を確認する。存在しない場合は、違法建築の可能性が高いです。 |
固定資産税評価証明書 | 建物の評価額を確認する。違法建築の場合、評価額が低い場合があります。 |
上記以外にも、近隣住民とのトラブルや、住宅ローンが組めない可能性など、違法建築を購入することには様々なリスクが伴います。専門家と相談し、十分に検討した上で購入を判断しましょう。
まとめ

違法建築の購入は、建築基準法違反に起因する様々なリスクを伴います。売買契約の無効や解除、解体・改修命令、資産価値の低下、売却の難しさなど、購入後に想定外の負担が生じる可能性があります。契約前に違法建築であることを認識していた場合、買主は契約不適合責任を売主に問うのが難しくなります。
専門家である不動産会社や弁護士に相談し、法的助言を受けることも有効な手段です。違法建築の購入は慎重な判断が必要です。
違法建築に関するご相談や、不動産売買に関する疑問は、なんでも不動産買取までお気軽にお問い合わせください。