
共有持分
2024.07.01
共有持分でトラブル続出!?マンションの不動産における共有持分の落とし穴と回避策を解説
「マンションの共有持分って一体何だろう?」「トラブルが多いって聞くけど、具体的にどんな問題が起こるの?」と不安を抱えていませんか? この記事では、マンションにおける共有持分の基本的な概念から、実際に起こりうるトラブルまでを分かりやすく解説します。
共有持分とは何か マンションを例に解説

共有持分とは、複数の者が一つの不動産を共同で所有している状態を指し、それぞれの所有者が所有権の一部である「持分」を有していることを意味します。この持分は、全体の不動産に対する割合で表され、例えば、AさんとBさんが1つのマンションを共同所有し、Aさんが2/3、Bさんが1/3の持分を所有している場合、Aさんはマンションの価値の2/3、Bさんは1/3を所有していることになります。共有持分は、マンションだけでなく、土地や戸建て住宅など、あらゆる不動産に適用される概念です。以下では、マンションを例に、共有持分の具体例を解説します。
共有持分の基本的な概念
共有持分は、民法で規定されている共有という概念に基づいています。共有には、「共同共有」と「区分共有」の2種類があります。マンションの場合、一般的には区分共有が用いられます。
共同共有とは、共有者それぞれが不動産全体に対して持分を有し、特定の部分を専有する権利を持たない共有形態です。例えば、相続によって取得した土地を兄弟で共有する場合などが該当します。一方、区分共有とは、共有者それぞれが不動産全体に対する持分を有すると同時に、特定の部分(例えば、マンションの一室)を専有する権利を持つ共有形態です。マンションの区分所有法では、この区分共有が前提となっています。

マンションにおける共有持分は、土地と建物の両方に存在します。マンションの敷地である土地は、区分所有者全員で共有しており、それぞれの専有面積の割合に応じて持分が定められます。建物部分については、専有部分(各住戸)は区分所有者が所有し、共用部分(廊下、階段、エレベーターなど)は区分所有者全員で共有します。この共用部分についても、土地と同様に専有面積の割合に応じて持分が定められます。つまり、マンションの区分所有者は、自分の住戸(専有部分)を所有するだけでなく、土地と共用部分についても持分を所有していることになります。
マンションにおける共有持分の具体例
例えば、総戸数10戸のマンションで、Aさんが専有面積100㎡の住戸を所有し、マンション全体の専有面積が1000㎡だとします。この場合、Aさんの共有持分は100/1000 = 1/10となります。この持分は、マンションの敷地や共用部分に対するAさんの所有権の割合を示しています。マンションを売却する際には、この持分に応じて売却益が分配されます。また、マンションの修繕や管理に関する議決権も、この持分に応じて行使されます。
共有持分は、不動産登記簿に記載されています。登記簿を確認することで、自分のマンションの共有持分や、他の区分所有者の持分を確認することができます。
マンションの共有持分で起こりうるトラブル

マンションの共有持分をめぐっては、様々なトラブルが発生する可能性があります。共有持分は、マンション全体に対する所有権の割合を示すもので、その割合に応じて管理費や修繕積立金の負担割合、議決権の数が決まります。この共有持分を巡るトラブルは、共有者間の関係悪化や経済的な損失につながる可能性があるため、注意が必要です。
共有者全員の同意が必要なケース
マンションの共有持分に関する重要な決定事項は、共有者全員の同意が必要となる場合が多く、これがトラブルの火種となることがあります。例えば、以下のようなケースが挙げられます。
マンションの売却
共有持分を有する全員の同意がなければ、マンション全体を売却することができません。一部の共有者が売却に反対する場合、売却は難航します。
大規模修繕工事
大規模修繕工事の実施や費用負担についても、共有者全員の同意が必要です。一部の共有者が費用負担を拒否した場合、工事の着手が遅れる可能性があります。
管理規約の変更
マンションの管理規約を変更する場合も、共有者全員の同意が必要です。一部の共有者が変更に反対する場合、規約変更はできません。
共有者の中に、連絡が取れない人や、同意を得るのが難しい人がいると、これらの決定が滞り、マンション全体の管理運営に支障をきたす可能性があります。共有者全員の合意形成がいかに難しいかを理解しておくことが重要です。
共有持分を巡る相続問題
共有持分は相続の対象となるため、相続が発生した場合、共有持分が分割され、相続人が新たな共有者となることがあります。これにより、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
相続人による共有持分の分割
被相続人の共有持分が複数の相続人に分割相続されると、共有者が増加し、合意形成がより困難になる可能性があります。相続によって共有者が増えることで、マンション管理組合の運営が複雑になるケースもあるため注意が必要です。
相続人とのトラブル
相続人が共有持分を売却したいと考えても、他の共有者が同意しない場合、売却はできません。また、相続人が管理費や修繕積立金の支払いを拒否した場合、他の共有者に負担が偏る可能性があります。このような相続人との意見の相違は、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
共有持分の放棄
相続人が共有持分を放棄した場合、他の共有者がその持分を買い取るか、放棄された持分を共有者間で分割するなどの対応が必要になります。放棄された持分の処理が適切に行われない場合、マンションの管理運営に支障をきたす可能性があります。
共有持分に関するマンション売却の方法

マンションの共有持分を売却する場合、いくつかの方法があります。共有持分ならではの難しさや手続きを理解した上で、最適な方法を選択することが重要です。
共有者全員での売却
最もシンプルでスムーズな方法は、共有者全員で合意の上、マンション全体を売却することです。この場合、売却益は共有持分に応じて分配されます。メリットとしては、売却価格が共有持分単体で売るよりも高くなる傾向があり、手続きも比較的簡単です。デメリットは、共有者全員の合意形成が必要な点です。全員の売却意思が一致しない場合、この方法は選択できません。
共有持分を買い取ってもらう場合は、買取価格や条件を慎重に検討することが重要です。特に、共有持分買取専門業者に依頼する場合は、悪質な業者も存在するため、不動産流通機構の会員企業かどうかなどを確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。複数社から見積もりを取り、比較検討することも重要です。
共有持分の売却は、共有者間の合意形成や法的な手続きなど、複雑なプロセスを伴う場合があります。そのため、弁護士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを回避し、スムーズな売却を実現できる可能性が高まります。また、共有持分を売却する際には、税金についても考慮する必要があります。売却益に対して所得税や住民税が課税されるため、事前に税理士に相談し、適切な対策を講じることが重要です。
まとめ

マンションなど、不動産を複数人で共同所有する際の権利が「共有持分」です。共有持分は便利ですが、共有者間のトラブルも起こりやすいのが現状です。トラブルを防ぐためには、共有契約を結ぶなど、事前の対策が大切です。トラブル発生時には、専門家に相談することも検討しましょう。共有持分について正しく理解することで、安心して不動産を所有できます。共有持分に関する豊富な知識と経験を持つなんでも不動産買取では、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。お気軽にご相談ください。